アマチュアゴルファーズ倶楽部

中古アイアンの調整 2019/11/13
マッスルバックアイアンが好きなお客様です。
前にタイトリスト660を中古で購入し、当店でスイングウェイト・ロフト・ライ角を調整した(カタログ値)後ベストスコアが出たということでしたが、ネットでタイトリスト690・MBを見つけ、買ってしまったという話しでした。
今回も660同様の調整依頼だったのですが、690・MBはアップライト仕様になっていることをお話しすると、とりあえずカタログ値でということになりました。
また、アイアンが届いたときに8番のシャフト内で異音がするのでグリップを外すと、重量調整の重りが出てきたとのことでした。
タイトリスト 690・MB   シャフト内から出てきた真鍮
8番から出てきた真鍮

お話をしながらクラブを見ると、セットでシャフト交換したあとに、8番だけ再度のシャフト交換があったようでした。
フェルール(ソケット)を見ると、
8番だけ横線が残っているが、
他はアセトンで処理したように
なっている
8番フェルール
 8番のフェルール

 8番以外のフェルール

他に、全体的にアップライト方向にフェルールがずれている(シャフトが斜めに入っている)ことと、フェルールが少し浮いているものがありました。
ずれたフェルール 浮いたフェルール

できれば、クラブの再組み上げをしたいところですが、中古で買ったこともあり、まずは使ってみて考えることに決まりました。
   3  4  5  6  7  8  9  P
 バランス  D2.1  D2.8  D2.5  D1.7  D2.2  D2.1  D2.7  D2.7
 実測ロフト角  21.2  22.0  26.0  29.4  33.5  36.8  41.3  45.0
 実測ライ角  60.0  60.5  62.6  62.7  64.0  63.1  64.0  64.0
 カタログロフト角  22  25  28  32  36  40  44  48
 カタログライ角  60  61  62  62.5  63  63.5  64  64
※8番:真鍮無し

なお、8番から出てきた真鍮は2.8グラムあり、ストッパー部分が削れていました。
なぜ入っていたかは不明です。

レディース用グリップ 2019/10/10
女性のお客様です。
シャフトはウッド・アイアン共男性用のRフレックスなのですが、レディース用グリップでも太く違和感があるので細くしたいとの相談でした。
装着されているグリップはヤマハのレディース用で、35グラムのものです。

ヤマハグリップ(シャフトバット径はドライバー0.6、アイアン0.61)
   グリップエンドから2.5cm径(mm)  グリップエンドから12.5cm径(mm)
 ドライバー  23.1  20.2
 アイアン  23.6  19.8

幾つかサンプルを作ることにしたのですが、使うシャフトはバット径0.6でグリップ装着部分に段差が無いものということで、アイアン用プロジェクトXを使うことにしました。
選んだグリップは口径0.59以上で35グラム前後としましたが、出来上がりを調べるとヤマハグリップと太さがほとんど変わりません。
口径0.62で作るもグリップエンド側が太く希望に沿うものがなさそうでしたが、さらに調べると、グリップエンドが細く口径0.6と0.62のイオミック・ウルトラライトがあり最後の頼み綱。
結果は以下の通りです。
レディース用グリップ
レディース用グリップ

グリップ計測値(写真上からor左から)
 グリップ名  重量(g)  グリップエンド径(mm)  グリップエンドから2.5cm径(mm)  グリップエンドから12.5cm径(mm)
 イオミック スティッキー
 ウルトラライト 27 M62
 26.5  23.85  22.45  19.6
 イオミック スティッキー
 ウルトラライト 34 M60
 34.5  24.0  22.7  19.7
 イオミック スティッキー
 1.8 ライト M62
 43.0  26.25  23.3  20.8
 ゴルフプライド
 VDラバー L59
 36.8  26.0  23.3  20.2
 ウィン
 ドライタック L59
 35.8  27.0  23.2  20.0
 ゼクシオ 10
 アイアン用 L61
 33.3  27.7  22.4  19.6
 ゴルフプライド ラバー
 ツアーベルベット M62
 44.6  27.3  23.7  19.7

グリップ素材の好き嫌いもあるのですが、イオミックのウルトラライト 34 に決定です。

パター再生 2019/10/03
最近のパターのグリップや長さが合わないので古いパターを倉庫から出したものの、錆などがひどいので元のようにしてもらいたいとの依頼です。
  オデッセイ CRIMSON 660 旧
オリジナルグリップは表面が剥がれている
  オデッセイ CRIMSON 660 旧

  オデッセイ CRIMSON 660 旧   オデッセイ CRIMSON 660 旧

抜いたシャフト重量は113グラム。
在庫にプレシジョンのパター用シャフト(126.9g)があったので同じ長さにカット(114.5g)。
オデッセイのオリジナルグリップと太さ・重量がほぼ同じテーラーメイドのグリップを使用。
ヘッドを研磨してから組み上げ。

  オデッセイ CRIMSON 660 新   オデッセイ CRIMSON 660 新   オデッセイ CRIMSON 660 新

  オデッセイ CRIMSON 660 新   オデッセイ CRIMSON 660 新

M社アイアン、チップカットされていたシャフト「ダイナミックゴールド S 200」 2019/04/21
今回はリシャフトしたアイアン(#3-PW)を元のダイナミックゴールドに戻したいという依頼です。
クラブにこだわりのあるお客様で、現在のシャフトは「モーダスツアー 125 X 」の番手ずらし(3番用を4番に、以下同順)してあるのですが、しなりを感じないので一度元に戻したいということでした。
まずは計測してから作業開始です。

(M社の長さ測定法は特殊ですが、今のクラブ長は買った時と同じという事でしたから、再組み上げはこの長さを基準にしました。)
●M社測定法
M社 クラブ長計測法

シャフトを抜くと、バランス調整に使われていたパーツは一般的な真鍮棒とは異なります。
 ・シャフト先端から1/8インチ出ている    ・使われていた重り (1.5〜6.0グラム)
抜いたシャフトチップ側   特殊形状の重り

再組み上げ用のダイナミックゴールド S200 をよく見ると、表示シャフト長『37.0』が2本ありました。
この2本は9番用とPW用なのですが、シャフト先端から初めの段差位置までの長さは0.5インチ違います。
全部のシャフトを再確認すると、3番用から9番用までのシャフト全てがチップ側を0.25インチカットしてあり、PW用は0.75インチカットしてありました。

DG S200 チップカット比較
DG S200 チップカット比較   DG S200 チップカット比較   上から
・未使用 37.0
・ボーケイウェッジ使用済み 37.0
・今回の9番用 37.0
・今回のPW用 37.0

このシャフトでの再組み上げになるのですが、お客様と相談し今回は#3=40.5(チップカット 0.25)からの使用にしました。
   3  4  5  6  7  8  9  P
 当初組まれていた表示シャフト長
 チップカット寸法
 40.0
 0.25
 39.5
 0.25
 39.0
 0.25
 38.5
 0.25
 38.0
 0.25
 37.5
 0.25
 37.0
 0.25
 37.0
 0.75
 今回使用の表示シャフト長
 チップカット寸法
 40.5
 0.25
 40.0
 0.25
 39.5
 0.25
 39.0
 0.25
 38.5
 0.25
 38.0
 0.25
 37.5
 0.25
 37.0
 0.25

なお、PWのホーゼル内径がシャフトチップカットの影響で広くなっていたため、極薄アルミ管を使用。

●振動数比較
   3  4  5  6  7  8  9  P
 モーダスツアー 125 X(番手ずらし)  325  332  335  344  350  356  363  370
 ダイナミックゴールド S 200(チップカット 0.25)  314  320  326  334  343  347  352  362

アイアン、シャフト交換(N.S. PRO 950GH S → 同SR)での色々 2019/02/20
今回はC社アイアンのシャフト交換です。
アイアンヘッド   シャフトはN.S.PRO 950GH S シャフトで、カタログ上のバランスは D1 です。
調べると以下の通りでした。
 5  6  7  8  9  P
 D1.8  D1.6  D1.9  D2.0  D1.6  D1.9

シャフトを抜く時、真鍮棒が使われている事を想定して作業したのですが、1本以外はヘッドホーゼル内に残ってしまいました。
●ヘッドホーゼル内(1本は真鍮棒の上に接着剤がかぶっている)
ホーゼル内真鍮棒   ホーゼル内真鍮棒   ホーゼル内真鍮棒に接着剤が乗っている   ホーゼル内真鍮棒   ホーゼル内   ホーゼル内真鍮棒

真鍮棒とホーゼル内の隙間に小さなマイナスドライバーを入れ、真鍮棒を底から剥がすようにこねると普通は比較的容易に真鍮棒を取り出せるのですが、今回はどれも頑固で出てきません。
真鍮棒を出すのにタップを切る事もあったのですが(Part 8、6月8日記)、もっと簡単な方法でトライです。


真鍮棒の真ん中にドリルで穴をあける
(この時に真鍮棒に食いついて出てくる時もある
今回は1本)
ドリルで出た真鍮棒


ドリルで開けた穴にスリムネジ(食いつきを良くするために
先端がカットされた物)をねじ込み引き抜く
(今回は3本)
ネジで出した真鍮棒

1本は小マイナスドライバーでこじってもびくともしないので、削り出し。
初めは普通のドリルで削れると
思ったのですが、途中からほとんど
削れず。色も金色からシルバーに
ホーゼル内真鍮棒   セルフセンターボーリングバイス
を使って本格的に削り出す。
深さに注意しながらの作業。
全部を削る前に熱で接着剤が
破壊され真鍮棒が出てくる
セルフセンターボーリングバイス

一通り全部の真鍮棒を取り出したのですが、このヘッドのホーゼル底が変わっていました。
普通のホーゼル底は大体右図の
様な形で、シャフト先端が当たる
(止まる)部分も1mm以上の厚さが
あります
ホーゼル内形状   今回のヘッドは右図のような形で、
シャフトが当たる部分の厚さが少なく
真ん中が深くなっています。
シャフトが止まる部分まで・・1.25インチ
真ん中の深さ・・1.5インチ
ホーゼル内形状

また、上に書いたようにシャフト挿入長は1.25インチあるですが、
実際の接着長が1.0インチだったため、シャフト内の真鍮棒が
シャフトから出た状態で接着されています。
シャフト先端の真鍮棒

ヘッド重量は下表の通りでした。
 5  6  7  8  9  P
 254.0g  259.1  268.2  273.9  282.3  290.6

このクラブに使われているソケットにも溝があったのですが、下に書いたソケットとは違い縦に溝があります。
ソケット   シャフトとに残ったソケット内接着剤   矢印茶色部がソケットの縦溝に
入り込んだ接着剤

----------
N.S. PRO 950GH のSR を使う事が無かったので、どんなシャフトか S と R で比べてみました。
※チップ側先端から最初のステップ(段差)位置の比較(シャフトは35.0インチ)
N.S. PRO 950GH S・SR・R 比較    上から
S・SR・R
N.S. PRO 950GH S・SR・R 比較 チップ側   N.S. PRO 950GH S・SR・R 比較 バット側

ステップ間を1とすると、R と SR ではステップ位置のずれは半分ですが、SR と S では1違っています。

メーカーオリジナルスチールシャフト(トゥルーテンパー製)と不思議な組み方 2019/02/01
アスリート向けで有名なクラブのシャフト交換がありました。
アイアンヘッド スチールシャフト   シャフトはメーカーオリジナルで受注生産品だったため、メーカーで組み上げたクラブです。
ざっとクラブのバランスを調べると、以下の通りでした。
 5  6  7  8  9  P
 D2.0  D1.7  D1.8  D1.5  D1.4  D1.4

ちょっと不思議な感じがしましたが、まずはシャフト抜きです。
シャフトを抜いていくと、ホーゼルの中に接着剤がたっぷり残ります。(A写真:見づらいです)
PWを抜くと、シャフトの先に真鍮棒が付いています。(B写真)
真鍮棒がシャフト先端から抜けて出てきたのかと思いましたが、後で調べると違いました。
A写真 ホーゼル内接着剤 ホーゼル内接着剤   B写真 シャフト抜き後 真鍮棒

このアイアンヘッドのシャフト挿入長は1.25インチなのですが、実際に接着されている長さは1インチです。
今まで真鍮棒の頭の厚さ分(1mm強)が入っていない(真鍮棒を使ってもシャフト接着長を同じ長さにするため?)ことはありましたが、
これだけ空けて接着してあるクラブは初めてです。
写真の真鍮棒は2.5グラムでしたが、9番に使われていた重さは1グラム強。
ホーゼル内の接着剤に埋まっていたのですが(写真取り忘れ)、底にしっかりくっついており加熱してもびくともしないため削り出しです。
  左:市販の1g
右:取り出した2.5g
真鍮棒

当初のバランスが?だったので、ヘッドの重さを調べてみました。
   5  6  7  8  9  P
 ヘッド重量(g)  254.5  261.4  268.8  275.8  282.9  290.9
 入っていた真鍮棒(g)  -  -  -  -  1+  2.5

ヘッド重量が大きくずれているわけではありません。
ショートアイアンのバランスが軽くなるのは、シャフト特性のようです。
    このヘッドにモーダス³105(S)を入れた時の仮バランスです。(調整無し)
 5  6  7  8  9  P
 D1.8  D2.0  D2.3  D2.3  D2.4  D2.5

このシャフト、普通のダイナミックゴールドとどう違うのか並べてみると、バット側(グリップ側)のステップ位置の間隔が狭くなっています。
が、それ以上に気になった事があります。
6本を並べるとアラマー!、ステップ位置が微妙にずれています。特に6番はひどい。
シャフト6本比較
シャフト6本比較   シャフト6本比較   シャフト6本比較

なお、このシャフトのバット側には『DGXPDIS』と書いてあります。XPの派生モデルでしょうか。
DG DST XP シャフト

※余談
今回のお客様が使っているウェッジはボーケイですが、アイアンセットとの流れ(長さ)がうまく合っていなかったようです。
(同じ悩みを持っているお客様がいらっしゃいました。)
   #9  #PW  #48  #52  #58
 ロフト(度)  40  44  48  52  58
 長さ(インチ)  36.0  35.5  36.0  35.5  35.0

また、ボーケイに使われているソケット(フェルール)の内側がちょっと変わっています。
ボーケイ フェルール   写真では分かりにくいですが、
内側に出っ張った横線があります。
(ここがシャフトと接する部分)